江川地域づくり協議会
佐用町江川地区

「集落の枠を超えた連携で、イベントも地域整備も成功!」

旧暦の七夕。木陰に爽やかな風が吹く夕暮れ時、ほのかなろうそくの明かりが照らす古道を、甲冑姿の武士や巫女、陰陽師たちが列をなして歩いていく。
毎年8月の第1土曜に開催する恒例のイベント、「陰陽師の里 江川 七夕行列」の光景だ。安倍晴明塚から芦屋道満塚へ続く1.5㎞ほどの道のりを、協議会が貸し出す様々な装束に身を包んだ人々が行進。
神戸市や姫路周辺の大学生を中心に、毎年およそ80人ほどが集まる人気のイベントだ。

 


毎年8月の第1土曜に開催する恒例のイベント、「陰陽師の里 江川 七夕行列」の光景。

 

今でこそ「陰陽師の里」のキャッチフレーズが浸透し始めた江川地域だが、地元の人たちが安倍晴明や芦屋道満の塚に歴史的な価値があることを知ったのは、わずか9年前のことだった。

「江川神社の秋祭りに、ある作家を連れて地元出身者が帰省されました。塚を目にした作家の方が、『こんな塚は全国でも珍しい、地域の宝にしてください』とヒントをくださったんです。ちょうど、若者の間で陰陽師がブームになっていた頃。若者を集めるならコスプレが面白いということになり、じゃあやってみようって。」と話す岡野センター長。

すぐに実行委員会を立ち上げ準備に取り掛かったが、当初はアクシデントに見舞われ続けた。1回目の開催では、前日の準備中に東日本大震災が発生。開催の是非を夜中まで話し合い、決行と決めた。しかし予定していた学生が参加できない事態になるなど波乱のスタートとなった。また翌年は、土砂降りの雨の中での開催。予期せぬトラブルにも負けず、今では「七夕行列」として多くの人に親しまれるイベントに育っている。

「装束の着付けを手伝ってくれる人、家で採れた桃やスイカでもてなしてくれる人など、地区の皆さんの協力で続いている手作りイベントです。実は、塚があるのは江川地域内で最も高齢化が進んでいる集落。草刈りひとつもままならない中、こうしたイベントを行うことで住民の交流が進み、他の集落の人が地域整備を手伝うきっかけになっています。地域の外へ向けたイベントが、集落という枠を超えた連携を生み、地域全体で助け合う活動にもなっているんです。」と話す木村会長。

地域資源の活用が外へ向けた発信だけでなく、自分たちの地域で安心して暮らすことにも繋がっている。こうした協議会の努力と想いは、地域や住民にも徐々に浸透し始めている。

「個から地域へ、協議会の想いが繋がる! 拡がる!」

平成30年11月、江川小学校跡地で、あるイベントが開かれた。昼はカフェや野菜市、エステなど50店が並ぶ「江川フェスティバル」、夕方は大阪からやってきたシェフが佐用町の特産品を使った料理でもてなす「星空ビストロ」、夜は県立西はりま天文台の専門員によるガイドと共に、校庭に張ったテントから星空を眺める「新月deキャンプ」という3部構成。このイベントを企画したのは、江川出身の元横浜市役所職員・菅井稔さんと、元佐用町役場職員・久保正彦さん。

 

江川フェスティバル

カフェや野菜市、エステなど50店が並ぶ 「江川フェスティバル」

 

「空き家・少子化・高齢化が進む故郷が、都市部の人との交流を通じて元気になってほしかった」と語る菅井さん。そんな想いに協議会も賛同し、後援として広報活動に尽力。およそ800人が来場し盛会のうちに終了した。

「江川地域では協議会という組織としてだけでなく、こうした個人や集落単位での取り組みもたくさんあります。つつじ祭りを開いて人を呼ぶ集落や、特産品づくりとしてスイートコーンの栽培に挑戦する集落、『桃源郷作戦』と名付け桃づくりに励む集落もあります。それぞれが個としての発信から地域全体への盛り上げに繋ごうと尽力しているんです。」と岡野センター長は話す。

個人の想いや集落の取り組みを地域全体で共有するため、年3回の手作り広報誌を発行。また地域内のコミュニケーションを大切にするため、百歳体操やグランドゴルフといったサークル活動を展開し、活動発表の場として「ふるさと祭」を2年に一度開くなど、他の協議会から一目置かれるほどの活発さ。それは、外からもたらされた気付きから始まっていた。

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