江川地域づくり協議会
佐用町江川地区

「ようやく気付けた地域の魅力を、住民みんなで共有したい」

「星の美しさも、自然の豊かさも、史跡でさえも、価値に気づいていなかったんです。どれも子どもの頃から、当たり前のように目にしていたものばかり。陰陽師の塚へ遊びに行ったこともなく、全国区の人気につながるものだとは想像もしていませんでした。」と木村会長が明かした。

移動の途中でたまたま出会った風景の美しさに心惹かれた人々から、「もう桜は咲いていますか?」「稲穂がそろそろ色づいていますか?」といった問合せが協議会に届く。田植えの頃には青々とした早苗に、秋の稲刈りの時期には村一面にひろがる黄金色の輝きに、それぞれ魅せられた人たちが訪ねてくるという。

「地元の人間では気付かない江川の良さを、外からの目によって教えていただきました。何もないところだと思っていた地域を『あぁ、そういう見方、考え方もあるんだな』と、プラス思考で捉えられるようになったのです。」と語る木村会長。
「地域の良さに住民たちが気づき、その良さをみんなで育むことで、ますます自分たちの地域が愛おしくなり元気になれる。それこそが地域づくりの基本であり、江川地域の協議会のあり方です。」

「安心・安全・楽しい暮らしを住民のためにつくる、それが地域づくり」

平成11年、棚田百選に認定された乙大木谷(おつおおきだに)地区。人口25人、高齢化率68%という限界集落の一つだ。高齢者だけでは棚田を守ることができず、20年間続けてきた棚田オーナー制度も今年で幕を閉じる。

「今は、ボランティアやシルバー人材センターの人たち、授業の一環で来てくれる40名ほどの高校生たちの協力で、かろうじて維持している状況です。」 自治会長を務める岡本憲一さんが静かに口を開いた。

「村の高齢者だけでは管理が行き届かないため、棚田の原風景はもう残せないかもしれません。でも、私たちは決して悲観はしていません。乙大木谷地区の住民は今、安全で安心して穏やかな日々を過ごしています。それが、この地域に暮らす一番の喜びなんです。」

地域づくりとは、外とのつながりを太くするための発信や、交流を深めるための行事を行うことばかりではない。一人ひとりが安心して楽しく暮らせる場所として、自分たちの住んでいる地域を存在させることなのだ。

「身の丈に合ったことに取り組むのが、一番大事な地域づくりだと思っています。」と語る岡本さんの穏やかな声を受け、木村会長が語った。

「協議会として、地域づくり活動で最も大切にしているのは、今住んでいる人たちが安全に安心して、楽しく暮らしていける場づくりです。地域の人が『一緒に取り組んでよかった』と言えるような活動と、『そこにあってよかった』と言ってもらえる存在であることを、協議会として大切にしていきたいと思っています。」

(取材日 令和元年6月5日)

江川地域づくり協議会活動のポイント

  1. 「地域づくり活動とは、地域住民が安全、安心に、楽しく暮らすための 場づくりから始まる」という基本姿勢を発足以来、変わらず大切にしている。
  2. 外によって気づかされた、資源としての地域の魅力を素直に受け止め、 全員の力で地域づくりに活かしている。
  3. 協議会だけが前面に出るのではなく、一つひとつの集落や一人ひとりの住民の 取り組みと連携し、サポートしながら地域づくりを行っている。

江川の地域づくりに関わる
私たちが感じる
「江川のいいところ」

木村政照さん

江川地域づくり協議会 会長
木村政照さん

長い歴史の中、それぞれの時代に先人たちが精一杯取り組んできたものを「宝」と呼ぶなら、江川にはたくさんの「宝」があります。それらを活かしきることこそ、協議会が取り組むべきことなのだと今になってわかってきました。他所の真似をすることではないという意味においては、まちづくりは失敗してもいいものだと思っています。江川地域が大切にしてきた人と人とのつながりを大事にしながら、みんなが安心、安全な住みよい地域づくりをこれからも目指します。

蔭山哲博さん

江川地域づくり協議会 副会長
蔭山哲博さん

13年間続いてきた協議会活動も、節目を迎えていると感じています。各集落の自治会長が運営の中心的役割を担ってきた協議会ですが、今後はもっといろいろな人が活動にも運営にも参加できる仕組みづくりが必要です。世代交代をスムーズに行うために、後継者を育てることに尽力できればと思っています。

岡野俊昭さん

江川地域づくり協議会 センター長
岡野俊昭さん

世間では地域に向かって「元気を出せ」と言いますが、「元気を出そう」という雰囲気を地域の中から作ることが、地域づくりには最も大切です。そのためには、住民みんなの協力が不可欠です。江川地域では、11の自治会が協議会を通して連携を取り、相談し合いながら取り組んでいく形がようやく整いました。次の課題は後継者の育成です。 若者の発想を一緒に面白がり、応援していきたいと思っています。

岡本憲一さん

まちづくり文化部会 部長・広報委員長
岡本憲一さん

活動に取り組んでくれる皆さんを見ていると、参加することを楽しんでいる人が多く、それが長く続いている秘訣だと感じています。私自身も取り組んでいることが、地域社会への貢献に繋がっているかもしれないと感じられるからこそ頑張れています。喜寿を迎えても忙しい毎日ですが、健康でいられることがありがたいです。

小林育男さん

江川ふれあい号運転手
小林育男さん

運転手として関わっている楽しさは、利用者の皆さんから「ありがたいわ」といつも言っていただくことです。それが張り合いになって元気が出るし、励ましにもなっているんです。参加しているというより、生活の一部になっていると言うほうがいいかもしれません。体力が続く限り、お付き合いしていきたいと思っています。

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