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NPO法人ママの働き方応援隊 神戸南校 代表

すごいすと
2015/05/25
合田三奈子さん
(36)
兵庫県神戸市
NPO法人ママの働き方応援隊 神戸南校 代表
神戸市長田区の駒ヶ林にある六間道商店街。シャッターを下ろしたお店が多いこの商店街に、子ども連れで気兼ねなく入れるカフェであり、イベントを開催できる場所でもある「r3」(アール サン)がオープンした。赤ちゃんから高齢者までワイワイ、仲良く集まる場所「wina(ワイナ)の森」が移転し、より大きく集まりやすいスペースとなったものだ。

ここを運営する合田三奈子さんは、イベントでの「赤ちゃん先生」との出会いがきっかけで、「赤ちゃん先生プロジェクト」の活動に取り組むことになった。子どもたちや高齢者が赤ちゃんと触れ合うことで命の大切さを伝えるこのプロジェクトを通して、ママや赤ちゃんと地域をつなぐ活動に力を注いでいる。

写真:NPO法人ママの働き方応援隊 神戸南校代表 合田三奈子(ごうだみなこ)さん

周りの人の顔が見える生活

神戸市須磨区出身の合田三奈子さんと夫で兵庫区出身の昌宏さん。第一子が生まれるころ、二人にとって縁もゆかりもない長田区に移り住むことになった。長屋の奥にあるお風呂のない古い文化住宅を、知り合いの酒屋の奥さんに紹介してもらった。

「お風呂屋さんに赤ん坊連れて行くと、居合わせた人たちが面倒を見てくれる。周りの人たちに見守られて子どもたちが育ちました」

地縁のないところだったが、住民同士のコミュニケーションが豊かな長田は、暮らしやすい場所だと感じるようになった合田さん。長田の町が大好きになった。

小学校2年生からバレーボールに打ち込んだ合田さんは、高校卒業後は実業団の選手として活躍していた。第一子を出産後、「バレーボールで鍛えた筋肉は日常生活には向いていない」と感じ、育児や家事のための体づくりにフィットネスクラブに通い始めた。1歳7か月の子どもを連れ、指導者に付きまとうように熱心に通った合田さんは、自身も指導者への道を歩み出すことになる。地域の婦人会の会長が、デイサービスでの高齢者向けのフィットネス指導を合田さんに提案したのだ。

このことがきっかけとなり、地域福祉センターで高齢者の認知症予防を兼ねたフィットネスクラスを始めた合田さんは、2人目の子どもの出産後も指導者として活動を続け、地域とのつながりをさらに深めていった。

写真:真陽地域福祉センターの生きがい型デイサービスでのボールを使った運動

真陽地域福祉センターの生きがい型デイサービスでのボールを使った運動
「いつも通り40分間大笑いして体を動かしましょう」

赤ちゃん先生との出逢い

3人目の子どもの出産後、フィットネスのクラスを休んでいたときのこと。NPO法人ママの働き方応援隊(ママハタ)が開催するイベントをのぞいて「赤ちゃん先生プロジェクト」を知った合田さん。

ママの働き方応援隊は「子育て中」がメリットになる働き方をつくるという理念のもと、神戸で誕生したNPO法人である。学校や高齢者施設、イベントなどに赤ちゃんを連れたママたちが出向き、命の尊さや、家族に絆の大切さを伝える「赤ちゃん先生プロジェクト」は、赤ちゃんと子どもたちや高齢者との触れ合いを通じて、子育て中の母親が地域とつながり、「無縁社会を解消する」ことを目指している。

フィットネスの指導でデイケアサービスや老人ホームに赤ちゃんを連れて行くと、お年寄りがとても喜んでくれた経験から、赤ちゃんには、愛おしいという気持ちを引き出す力があることを日頃から感じていた合田さん。

「子育て中のママだからこそ出来ることがある」

合田さんの思いが、ママハタの理念とピッタリ重なった。

ママハタの活動にかかわることとなった合田さん。全国を駆け回り子育て中のママのだからこそできる社会参加のモデルづくりに奔走し、平成26年に「赤ちゃん先生クラス」を本格的に始動させた。

写真:「赤ちゃん先生クラス」

「赤ちゃん先生クラス」

命の大切さを伝える

「赤ちゃん先生クラス」は、ママ講師養成講座を受講したママと赤ちゃんが、高齢者施設や学校などを訪問するものだ。

今年5月、養父市の高齢者施設を訪問したのは地元の3組の赤ちゃんとママ。初めてだったママたちは緊張気味だったが、合田さんの笑顔に背中を押されて前に立ち、赤ちゃんと自分の紹介を始めた。

大事に赤ちゃんを抱くお年寄りの顔からは、愛おしいという思いがあふれ、涙がこぼれる。寝たきりで参加できない人のところに、ママから預かった赤ちゃんを抱いた合田さんが現れるとやさしい笑顔が広がった。

写真:養父市にある高齢者施設 かるべの郷

養父市にある高齢者施設 かるべの郷

兵庫県立須磨友が丘高等学校に出向いたときは、保育を選択する2、3年の高校生が7つのグループに分かれて赤ちゃんとママを囲んだ。へその緒を首に巻き付けて生まれてきた子が産声を上げなかったと言う話や、流産を経験したママの、妊娠した喜びよりも無事に生まれて来てくれるかどうか不安だったという話を聞いた生徒たちは、目の前にいる赤ちゃんの命の重み、自分の命の尊さを心に刻んだ。

ドキドキしながら妊娠中のママのお腹を触らせてもらった生徒たちは、胎動を感じて「自分も母親になったら、大事に大事に育てたい」と感想を述べた。

写真:兵庫県立須磨友が丘高等学校での赤ちゃん先生クラス
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兵庫県立須磨友が丘高等学校での赤ちゃん先生クラス

人を繋ぐ場所

ママハタの活動と地域を繋げる場所をつくりたいと思った合田さん。シャッター街になっていた地元の六間道商店街を元気にしたいとの思いも重なり、空き店舗を活用し、一つの空間でカフェや講座などが開催できる「wina(ワイナ)の森」を開いた。winaとは「赤ちゃんから高齢者までワイワイ、仲良く集まる場所」という意味だ。

今年5月、人がたくさん集うようになり、活動の場として手狭になったwinaの森は、六間道5丁目から3丁目の空き店舗に場所を移し、「r3」をオープン。約3倍の面積になったwinaの森は、食を通して人や出来事が繋がる「キッチンwina」、大人を中心に心と健康と学びの場所「健康wina」、小さい赤ちゃんから子どものための遊びと学びの場所「寺小屋wina」、シェアスペースとして使用し、手作りの品などの展示や販売ができる場所「レンタルwina」として、たくさんの人を繋いでいる。

写真:六間道商店街

六間道商店街

写真:六間道商店街にある「r3」は、様々な年代の人たちが集う場所となっている。

六間道商店街にある「r3」は、様々な年代の人たちが集う場所となっている。

「赤ちゃん連れの場合、ベビーカーが邪魔になるからと入店を断られたり、予約しないと利用できないことがあるので、気兼ねなく入れるおしゃれなカフェができてとてもうれしい」という若いお母さん。「こんなおしゃれなお店ができて、いろんな人に会えるので来るのが楽しみ」と言うおじいさん。ワイワイ仲良く集まる場所「winaの森」は、引っ越してさらに大きな森となった。

たくさんの人が集まり繋ぐ場所になることで、商店街に人通りが増えてほしいと願う合田さん。

夢は「全国のシャッター街をスマイルオープンしたい」

写真:r3で新開地音楽祭の演奏リハーサルを行うママの働き方応援隊「ばぶう音楽隊」

r3で新開地音楽祭の演奏リハーサルを行うママの働き方応援隊「ばぶう音楽隊」

つながり ご縁に感謝

「つながりのみでここまでやってきた」と合田さん。

昔は生きにくいと感じることもあり、目の前のことから逃げることもあったと言う。「子どもを産んだことで、人とつながることはしんどいことではないと感じるようになり、克服できた」そうだ。

これまでつながることで力をもらうことがたくさんあった。いただいたご縁に感謝しながら、自身も人をつないでいきたいと考えている合田さんのr3の名刺の肩書は「繋ぐ人」だ。

「たくさんの人を繋いで、周りの人みんなが笑顔になってほしい」

人と町が元気になることを願って、飛び回わる。

写真:好きな言葉「つながり ご縁」とともに。

(公開日:H27.5.25)

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