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子育て支援グループ キララ

すごいすと
2016/08/25
山本梨香さん
(51)
兵庫県三田市
子育て支援グループ キララ

三田市主催の保育サポーター養成講座の修了生が集まり、平成13年5月に発足した「子育て支援グループ キララ」。平成19年から、まちの子育てひろば「キララ倶楽部」として、子育て中のお母さんや子どもたちに向けて様々な託児付きイベントを開催。活発な活動により、平成20年には「子育て応援元気アップ賞」を受賞している。平成24年からは、24時間年中無休で託児を請け負うキッズルームや、隔週日曜に開く親子カフェの開設など、活動フィールドを拡大。現在、代表の山本さんは「ひょうご子育てコミュニティ」で副代表幹事も務めている。

平成30年2月14日に逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。

子育て支援グループ キララ 代表 山本梨香さん (兵庫県三田市)

さんさんと降り注ぐ夏の太陽の下、子どもたちがプールで水とたわむれている。ホールではお母さんたちが、つい先程まで「Enjoyエクササイズ」で気持ち良さそうに体を動かしていた。「キララ」が有馬富士公園パークセンターで定期的に開催している、まちの子育てひろば「キララ倶楽部」。多い時は20組もの親子が楽しい時間を過ごし、笑顔で帰ってゆくという。

今から15年前「キララ」は生まれた。山本さん自身が辛い子育ての経験者。わが子を「かわいい」と、素直に思えない時期も過ごしていた。
「当時は一人っ子とか、しんどい子育てをしているスタッフが多かったんです。学ぶためなら子どもを預ける場はあったんですが、ゆっくりするために預けられる所はありませんでした。そこで私たちは、お母さんを育てる場ではなく、お母さんがリラックスできる場づくりを始めました」

「キララ」の活動は、どこまでも自然体。参加者を紹介し合ってつないだり、子どもたちを無理に泣きやませることはしない。スタッフの目配り・心配りで、みんないつのまにか仲良くなり、いつのまにか笑顔になっている。
「私たちの役割は、気づいてあげることだと思っています。お子さんの遊ぶ様子で、日頃お母さんとどんな関わり方をしているかがわかるので、さりげなくアドバイスすることも。託児の現場では、お母さんがなぜいないのかを話して聞かせます。小さな子どもだってちゃんと理解できるんですよ。2時間後には、みんな笑っています。私たちは託児のプロですから」

子どもを通じて、お母さんたちも打ち解けられる

今、山本さんは、お嫁さんと9ヶ月になるお孫さんと暮らしている。息子さんは東京で単身赴任中。
「一人で子どもを育てている彼女を見ていると、お母さんたちはみんな疲れているんだとわかります。お母さんが笑うと子どもも笑うんです。そうしたら、一緒にいる周りの人も笑っています。笑って子育てをしてほしい」
キララとは、キラキラした笑顔で子育てをしてくださいというメッセージが込められた名前。「この大切さを伝えたい」と山本さんは話す。

「キララ」の子育て支援活動はとてもユニークだ。例えば平成27年には、県が提言する「結婚から子育てへの切れ目のない支援事業」の委託を受け、生まれて間もない赤ちゃんを学生が抱っこするイベントを開催した。抱っこの他にも、一緒に買物へ行く、電車に乗る、ベビーカーを使うなど、実際の生活の中で赤ちゃんと関わりながら、子育ての大変さを体験してもらおうというものだ。
自分たちが一生懸命お世話をしたことで、子どもが喜び笑う姿を目にした時、学生たちは「うれしくて楽しかった。すべて自分の喜びになるから、お母さんは頑張れるんだとわかった」と話したという。

「子どもを産みたくないという若い女性が増えていますよね。実際の赤ちゃんを抱かせてあげることで、きっと変わると思ったんです」と山本さん。このイベントを通して、女子学生たちは「産んでみたいと思った」と言い、男子学生たちは「実際に手伝うと、自分にもできることがあるんだって見えて来た」と感想を述べたという。
笑顔で子育てを。「しんどい」子育てを「楽しい」子育てに。「キララ」の目指す子育て支援のあり方が見えてくる。

まちの子育てひろば「キララ倶楽部」は、活動の内容だけでなく活動場所もユニーク。活動拠点は三田市にある有馬富士公園。広大な公園が、まるごと子育てひろばだ。
「公園は、いろいろな地域から様々な世代の人が集まって来ます。同じ人とばかりいるコミュニティではなく、いろいろな人が集まる所へ出てゆき、様々な年代の人と関わるのは子育てにとても大切なこと。世の中には、いろんな人がいます。そんな人々に合わせた対処の仕方を学び体験できるのが、公園のよさだと思います」と山本さん。

有馬富士公園

「子どもがうるさい」と言う大人。「子どもはうるさくて当然」ととまどうお母さん。みんなが子育てに厳しい目を向けている現代は、お母さんが心を開けない社会でもある。
「双方が『お互い様』の気持ちを持って、相手の立場で考えられるようになった時、見えて来ることはきっとたくさんあるはずなんです」

「私もご近所に助けてもらった子育てでした。キララを通してお返しがしたい」と語るキララ副代表松野さん。山本さんへのメッセージは「頑張りすぎてしまう人。少しは休んでほしいです」

「地域のおじいちゃん、おばあちゃんになりましょう」と呼びかける山本さん。
「子どもが周りにいる環境に身を置くことで、関わり方が自然とわかるようになります。うるさく思っていたことも、しょうがないなと許せるようになりますから」

「異世代が関わり合うことの目標は、子育て中のお母さんが『助けて』って周りに言えるようになること。子育てを辛くしんどいものにしてしまうのも、虐待が生まれてしまうのも、理由のひとつはお母さんが周囲の人を頼ることができないことにあると思うんです。
『お子さんを、みておこうか?』と声をかけてもらったら、素直に甘えられるようになりましょう。子育てをするようになったら、周りに『助けて!』って声を上げていいんです! チャレンジしましょう! 公園でできるようになると、自分の地域でも自然とできるようになれますよ」

公園というオープンな場で、他人との関わりから生まれる体験を通した子育て支援。愛とユーモアあふれる、子育て支援グループ「キララ」の活動から、親子の笑顔が三田の街いっぱいにあふれますように。

(公開日:H28.8.25)

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