兵庫県立長田商業高等学校兵庫県神戸市

新しい伝統行事とこれからの目標

阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた中でも、追儺式は行われた。
「参道の鳥居が倒壊して、その光景が信じられませんでした。神社の周りの家も大きなダメージを受けて、多くの方が、生活を立て直すまでにかなりの時間をかけておられ、本当に大変でした。みなさんが復興に向けて忙しくしている中、私たちは井戸のお祓いをしてほしいとお願いされて、がれきが積まれた場所のわきを抜けて、何軒もお邪魔したことを思い出します。」と長田神社の佐々木禰宜が当時の状況を教えてくれた。

長田神社の佐々木禰宜さんにインタビュー

阪神淡路大震災時、被害を受けた長田神社前商店街

「追儺式もそうですが、お祭りごとを神社でやる意義は、日本の伝統を後世に伝えるところにあります。たとえ神社の社務所が以前の木造から鉄筋に変わったとしても、伝えるべきもの、込められた想いは昔から何も変わらないのです。」と佐々木禰宜は、爽やかな表情で語ってくれた。
そのお話を聞き、震災で大きな被害を受けようとも切れることの無い、長田神社と地域の方々との深い結びつきを改めて感じた。そして、長田神社の近隣の家々の玄関に、追儺式での松明が飾られているのを見たことを思い出した。その風景には、無病息災を願う人たちの想いがあったのだ。

長い伝統ということについて、西本さんにお話を聞くと表情を柔らかくしてこう語った。「伝統行事を守らなあかんていうことはたしかにあるんやけど、少しずつ伝統も変わっていっていいわけで、いいように変えられたらいいわけで、何も変えないということが伝統を守るということではない。」
「追儺式では、我々は舞台人やから、みんなが良かったなと、そういう気持ちを持って帰ってもらいたい。」
一昨年の追儺式まで、薄暗い照明の中で踊りをしていたが「新しいものを取り入れてスキルを上げていこう」という奉賛会のアイデアで、昨年から照明をより明るく、参拝者の方々からよく見えるようにLED照明を取り入れる仕掛けを作り、好評を得た。今年は、参拝者の方々がより良い雰囲気に包まれるように、お囃子や太鼓などの音響効果を工夫する予定である。
「昭和45年に、先輩たちが努力して兵庫県の重要無形民俗文化財の指定を受けたんですけど、これからは県から国へステージを上げて、国の指定を目標にして頑張ろうと思ってる。そのためには、なるほどという評価がないと無理やから。何とか神戸の追儺式はここにいますよっていう状況を作りたい。国にも長田神社追儺式、奉賛会を認知してもらっているので、『もうひと押し』と思っている。」
追儺式の伝統行事を新しく改革して次代に受け継いでいく、西本さんのまっすぐで強い思いはきっと、長田地域にとどまらず、時代を超え受け継がれていく。

取材後、追儺式を終えて

追儺式本番では、インタビューでお聞きし、想像していた以上の“もの”を感じた。
今年は土曜日に実施されたこともあり、寒い中でも多くの人が集まっていた。また鬼役の方は、時折、雨雪が降る中でも、素足で踊っていた。
追儺式では数種類の鬼たちがおり、その鬼たちがすぐ目の前でたいまつを振りかざし踊り、火の粉を空気中に散らしていく姿は迫力満点だった。また、これが昔から受け継がれてきたものかと思うと感動し、鬼役の方だけでなく、鬼に松明を渡す方、追儺式に携わっている多くの方々の気持ちが伝わってきた。古くから地域に根付いてきた行事だけあって、長田神社は多くの人で埋め尽くされており、その会場の雰囲気に圧倒された。
取材を通して、知り合った商店の方々から「よく調べているね!楽しみにしているよ!」などと言っていただき、地域との交流の大事さを学んだ。

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ライター・カメラマン

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