未来のすごいすと

村おこしプロジェクトCountry Road同好会兵庫県神戸市

グループ紹介

村おこしプロジェクトCountry Road同好会 兵庫県神戸市

見渡す限り山、山、山。頭上からこぼれ落ちてきそうなほどの、豊かな緑に囲まれた多可町八千代区。
「自然の音がどんどん耳に入ってくる!」と、セミの声にも驚くほど都会で生まれ育った女子大生たちが、休耕田の真ん中で農作業に汗を流している。
兵庫県のほぼ中央に位置する多可町八千代区は、面積の約80%を山林が占める緑と清流に恵まれたまちだ。34%を超える高齢化率を抱え、地域活性化の課題に直面するこの地域に、女子大生たちがやってきたのは平成30年春のこと。甲南女子大学人間科学部 佐伯勇教授が立ち上げを支援した大学公認の部活動「村おこしプロジェクトCountry Road同好会」だ。

「農作業を体験したい」「ものづくりが好き」「村おこしに挑戦したい」。そんな好奇心いっぱいの女子大生たちが集まり活動を開始。2年目を迎えた令和元年9月現在、3回生から1回生まで計16人が参加している。

活動の中心は、ハーブを使った6次産業化支援(*)。ハーブを八千代区の新たな特産品にしたいとの想いから、村の中の休耕田でハーブを育てることから始まり、収穫したハーブの加工品開発や地元の特産品を活用したレシピの提案、大学祭をはじめとする様々なイベントや地元直売所での販売を行っている。
「自然の中でしかできないことに取組める。田舎ならではの経験は新鮮!」というメンバーたちは、毎週のミーティング活動に加え、月に一度八千代区を訪問。ハーブの他にも、さつまいもやヤーコン、菊芋など様々な農作物の植え付けや収穫、イベントでの販売をはじめ、オリジナルレシピづくりにも挑戦中だ。
「野菜農家の方たちの様子を目にすると、食べ物がどうやってできるのかわかって面白い」と、明るく楽しく取り組んでいる。

そうした6次産業化支援に加え、大切にしている活動が地元住民たちとの交流だ。
「最初は、村の中を歩いているだけで視線を感じてとまどった」という学生たちだが、夏祭りの企画・運営やお正月の餅つき大会をはじめ、依頼を受けた野菜直売所のリニューアルオープンなど、積極的に地域の中へ飛び込んでいくことで、少しずつ地元住民たちとのコミュニケーションを深めていった。
中でも高齢者との触れ合いは、「話をするだけで学ぶことがたくさんある」と部長の西村朋香さんは話す。
「祖母が住むまちも八千代区に似て地域の元気が足りない。どうしたら盛り上がるんだろうと考えるうち、村おこしに興味が湧いた。今こうして関わっていることに、やりがいを感じる」というメンバーもいる。

西村さんは「八千代区には、魅力的なスポットがいっぱいある。『次はあそこへ行こう』『こんなお土産があるよ』って、八千代で一日過ごすための案内ができたら、地域活性化に繋がると思う。都会からくる人に、私たちがどれだけ伝えられるかにかかっている。そのためには、今活動している私たちが卒業しても、このまちにいつでも戻れる関係を築くことが必要。ハーブの特産品化や野菜直売所あまふね市の活性化を、地域の人と一緒に後輩たちにも続けてほしい。繋がっていくことが本当の地域づくりだと信じている。」と語った。

 

*6次産業:農畜産物・水産物の一次産業(生産)だけでなく、二次産業(加工)・三次産業(流通・販売)にも農林水産業者が中心となって関わることで、農林水産業の活性化を図るもの

 

村おこしプロジェクトCountry Road同好会 部長 西村朋香(にしむらともか)
甲南女子大学医療栄養学科2年

村おこしプロジェクトCountry Road同好会 部長紹介

私の好きなハーブを育てて活用するという活動に惹かれ入部しました。もともと人のサポートをするのが好きで、困っていることがあれば助けてあげたい性格です。1回生の時に同好会の会計を担当し、当時の部長のそばで仕事を手伝ってきました。その経験を活かすことで自分が成長したいと思い、部長を引き受けました。先生をはじめ2回生みんなの心強いサポートのおかげで、続けられています。

部長という役目を通して、いろいろな目線や角度から物事を捉え、考えられるようになりました。いつでもどんなことでも「なぜ、これをしなくちゃいけないんだろう」という目線を持つ大切さを、先生が根気強く指導してくださったからです。
例えば、八千代区の現場へ活動に行った人と行けなかった人の間に生まれる体験や認識のずれをどうやって埋めるかといった課題に対して、行動の目的を自分たちで考えるようになったおかげで、活発な話し合いができるようになり解消につながりました。さらに部員たちと地域の人の関係づくりにおいても、地域のみなさんに声をかける目的を持てるようになったことで、話しかける機会を自らつくれるようになり、地域の方々と触れ合えるようになったと思っています。
学生は視野が狭くて一つのことに捉われがちですが、地域の方々と交流する中で「こんな考え方もできるよね」とか「昔こんなこともやってたよ」と、自分たちの経験を話してくださいます。「じゃあこんなこともできるのでは?」と、そこから私たちも発想力を広げることができています。

初めは地域の方に、何と声をかけていいのか分かりませんでしたが、今では「来てくれてありがとう」と言ってもらえたり、活動をほめていただくことがあります。本当にうれしい瞬間です。この活動は、自分たちがやっていることの答えが、すぐに出るわけではありません。何カ月後、もしかすると何年後かもしれません。本当にこれでいいのかって、すごく不安になりながら続けていることもあるのですが、地域の方の言葉で自分たちの方向は正しいんだって自信にもなっています。

地域活動って、お互いが頑張り過ぎないことが大切だと感じています。学生は学業を優先し、できる範囲内のことだけ取組まないと、かえって地域に迷惑がかかります。地域の人にとっても、学生を受け入れることは負担になっていることも多いはずです。みんなが無理せず頑張れればいい。そのためには、お互いが本音で要望を伝え合える関係づくりが大切です。それこそが、村おこしの第一歩だと思っています。

 

甲南女子大学人間科学部 文化社会学科 佐伯勇(さえきいさむ)教授

村おこしプロジェクトCountry Road同好会 顧問紹介

本学の学生は、与えられたことに対して真面目に取り組む素直さがある一方で、答えのない課題に主体的に取り組むことが得意な人は少ないように感じます。しかし変化が激しく先の読めない現代では、課題自体を自分たちで見つけ、答えのない課題にチームで取り組み付加価値を生み出す必要があります。このような実践力を身につけるには、学生が地域や企業と主体的に関わり学ぶ場づくりが必要だと考えています。

地域の方を巻き込み、動かさなくてはいけない地域活動には、目的を持ったチーム作りと観察力やコミュニケーション力が必要です。地域に入り込み、一緒に活動に取り組むことでお互いに学び合う関係が作れたら、社会で活躍できるだけでなく、生き抜くための重要なスキルが身につくのではないかと思ったんです。

当初は「これがしたい」と言う学生たちに「どうしてそれがしたいの?」と尋ねても、答えが返ってきませんでした。自分やチームの中だけで感覚的にやりたいことを決定しても、地域の人はなかなか協力してはくれません。「それは地域の方の目にはどう映る?」「何が課題だと思っているの?」と質問を投げかけ、学生たちの中にあるものを解きほぐすように支援を続けたことで、少しずつ物事を主体的かつ論理的に考えられるようになり、結果として他者と関わる力がついてきたと思います。

その成果を感じたのは、地域の方々が「甲南女子大の学生たちと、村おこしに取り組みたい」とおっしゃってくださったことでした。学生たちがどういう気持ちで村へ来て、何をしたいのか、挨拶一つでわかるとおっしゃったんです。自分から人に関わっていけば、できることがたくさんあり、喜んでもらえる。主体的な態度が人を動かし、それが「私にもできる」という自己肯定感につながっていく。そんな貴重な経験を、学生たちにはもっともっと積み重ねて欲しいと思っています。

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