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明石高専防災団D-PRO135°

兵庫県明石市
明石高専防災団D-PRO135°

防災士になった高専生たち、D-PRO135

「防災士の資格を取得したからには、その責務を何かの形で全うしたい。」平成27年7月、明石高専防災団(D-PRO135°)は、そんな想いを抱いた当時の2年生(現5年生)有志6人から始まった。

 

「父が東日本大震災の経験者」「防災意識の高い兵庫で学びたい」「防災士の資格を活かしたい」。活動に参加した動機は様々だけど、想いはひとつ。「誰かの役に立ちたい!」

 

「遊びながら楽しく防災知識を学べるゲームを作ろう」。様々なゲームを体験し、一人一人がアイデアを持ち寄ってできた防災ゲームが、D-PRO135°の活動の原点。

 

一人でも多くの人に、防災やD-PRO135°について興味を持ってもらうために、校内では1年生に向けた活動報告のプレゼンテーションを行うことも。

 

防災に大切なのは、地域と共に歩むこと。ゲームの体験会開催やイベントへの参加から、地元地域団体との協働による減災まちづくりへ、活躍のフィールドが拡大中。

遊びながら学ぶ、新しい防災意識の啓発

自分たちが学んだことや被災者から聞いた生の声を、まだ防災に興味のない幼い世代にも伝えるために、平成28年1月「災害メモリアルアクションKOBE2016」で、最初の防災ゲーム「SECOND HAZARD(セカンドハザード)」を発表した。

 

「SECOND HAZARD(セカンドハザード)」は、家から避難場所までたどり着く早さを競う「自助」をテーマにしたゲームだった。しかし実際の災害時には、自分が助かるだけではなく周りの人との助け合いが大切だと気づく。

 

そんな「共助」の視点から改良を重ね、1年後に新ゲーム「RESQ(レスキュー)」が誕生。小さな子どもから年配者まで、誰でも楽しめるルールのすごろく型ゲームで、「共助」の意識や防災知識が遊びながら自然と身についていく。

 

「もっと遊びたい!」B1グランプリに出展したゲーム体験では、子どもたちが興味を持つ様子だけでなく、「おもしろい!」と目を輝かせる、付き添いの保護者たちの姿も目の当たりにできた。

 

平成27年12月の試作品完成から今日現在まで、いくつもの体験会を通して感想や意見を集め、改良を重ねてきた防災ゲーム。完成形をめざす挑戦は、まだまだ続いている。

地域とともにめざす防災・減災

平成28年から活動を続けている、東二見の減災まちづくりプロジェクト。避難訓練やまち歩きワークショップなどの活動を通じて感じるのは、町の人たちの防災意識の高さと減災への情熱の大きさだ。

 

地域活動の一環として、感震ブレーカー(*)を取り付けた。「おじいちゃんやおばあちゃんが『また来てくれたんだね、ありがとう』って言ってくれるのがうれしい」。
*大地震の発生時、自動的に電気の供給を遮断し、電気が原因による火災を防ぐもの

 

地域に溶け込むために、心がけていることは「リスペクト」。「世話役の人たちは常に地域の中心にいて、誰より地域のことを考えている。そんな人たちへ敬意の気持ちを持つことが大切。」

 

精力的な活動が認められ、平成28年度1.17防災未来賞「ぼうさい甲子園」 フロンティア賞を、平成29年には兵庫県/第19回「人間サイズのまちづくり賞」まちづくり活動部門 奨励賞を受賞した。

 

防災・減災とは、誰かを思ってする活動。この町のために、誰かのために、考えること、動くこと。始まりは学校を通しての活動でも、関わりの生まれた場所はずっと大事にしたいと思っている。

誇りと向上心を明日へ続く活動の力に!

毎年参加を続ける、人と防災未来センターでの「災害メモリアルアクションKOBE」。報告会や交流会での、他の学生たちとのコミュニケーションを通して、自分たちの活動への誇らしさと未熟さを感じることが、明日へのエネルギー。

 

自治体や企業に合わせた、オリジナル「RESQ」を企画する依頼が届いたり、魚住や江井ヶ島といった新たな地域での活動が始まるなど、D-PRO135°のチャレンジは、次のステージへ向かい始めている。

 

県内には様々な防災活動グループが存在するが、全体がひとつにまとまるための組織が存在しないという。「後輩たちには、ぜひ横のつながりを持てる活動を行ってほしい」と5年生は語る。

 

そんな5年生たちも、まもなくグループを離れる時を迎える。卒業後も関わり続けたいという一方で「D-PRO135°は、防災ゲームだけの活動グループじゃない。後輩たちには、自由に新しい活動をしてほしい。」

 

31人のメンバーが目指すのは「これからもずっと活動を続けていく」こと。D-PRO135°の活動を途絶えさせないようにすることが、誰もの防災意識を薄れさせないことに通じるはずだから。

グループ紹介

明石高専防災団D-PRO135°

「おもしろい!」「もっとやりたい!」「こんな時、どうしたらいいの?」
小学生たちが夢中になって取り組んでいるものが、実は「防災学習」だと知ったら、ほとんどの人は驚くに違いない。
「防災というと、教科書で学ぶ堅苦しいものだとイメージされがち。自らすすんで知りたいと思うきっかけを作りたかった。」
興味の湧きにくい学習を遊びに変換することで、楽しむうちに勝手に知識が身につく。そんな画期的な防災学習のきっかけとなる防災ゲームを誕生させたのが、明石高専防災団D-PRO135°だ。

1年生から5年生まで、防災士の資格を持つ31人が所属。彼らの代名詞とも言える防災ゲーム「RESQ」の開発・普及をはじめ、東二見地域での防災に主眼を置いたまちづくりなど、被災地でのリーダー役になる防災士としての責任感に、都市システム工学や電気情報工学といった高専生ならではの視点を取り入れた活動で、地域づくりに取り組んでいる。

D-PRO135°が、活動を通して伝えたい防災のテーマ。それは「減災」と「共助」だ。
「災害は起こるもの。その時、自分への被害をどう減らすか、自分の身をどう守るかが大切。さらに実際の災害現場では、周りの人を助けながら動く『共助』の意識が最も必要です。」と話すのは、代表を務める4年生の竹谷夏葵さん。
ゲームでは、「救急セットを届けよう」「お年寄りを避難所まで案内しよう」といった、助け合いの意識や方法が自然と身につく内容を取り入れたり、地域活動では避難訓練やまち歩きを通して、小さな子どもや高齢者にも目を向ける機会を作る。
「災害が起きた時、人を思いやる気持ちって大切。でもまずは自分の身を守ること。知識があれば自分の身を守れる、自分の身を守れたら人の身も守ってあげられる」と話す2年生の言葉はメンバーみんなの気持ち。全員が想いを一つにしながら、活動を続けている。

そんなD-PRO135°の意欲を支えているものに、他グループとの交流がある。毎年参加する「災害メモリアルアクションKOBE」では、活動の報告や展示を通じ活発な意見交換を行っている。
竹谷さんは「『ゲームができるんだ』って驚かれてうれしかったり、自分たち以外にも熱心な活動グループに出会って『井の中の蛙』だったことに気づけたり。みんなのすごい情熱にパワーをもらえます。ぼうさい甲子園や人間サイズのまちづくり賞での受賞も、自信になりました。」と話す。

「もっと遊びたい」と喜ぶ子どもたちの笑顔。「来てくれてありがとう」という地域の人たちからの感謝の言葉。防災士として貢献したいという使命感。それら一つ一つを、士気を保つエネルギーに換え、D-PRO135°は4年目の活動に取り組んでいる。

 

 

明石高専防災団D-PRO135° 竹谷夏葵(たけたになつき)  明石工業高等専門学校電気情報工学科4年生

明石高専防災団D-PRO135° リーダー紹介

入学するまでずっと運動部で過ごしてきたので、学校の外へ出ていくD-PRO135°の活動はとても新鮮! いろいろな人たちと触れ合えることが楽しくて、気づいたらグループとの関わりも一番深くなっていました。代表になったのも、自然な流れだったのだと思います。

日ごろからリーダーとして大切にしていることは、メンバー各々の時間を大事にしてもらうこと。D-PRO135°はボランティア色の強い活動です。一人一人の気持ちや都合をまず優先してほしい。そして参加してくれた時には、楽しく気持ちよく動けるように、その日取り組む活動を考えています。

学生という立場で、こうした活動に取り組むことには、いろいろな意味があると思っています。
例えば、東二見の減災まちづくりプロジェクト。初めて町の会合に参加した2年生の時、大人たちに圧倒されたのを覚えています。大人と関わりなじんでいくことは、自分が成長していくための超えるべき壁でした。あがり症だったのも克服できました。そうして壁を超えたら、大人たちの反応が変わってきたんです。話しかけてきてくれたり、提案してくれるようになって、コミュニケーションが一方通行じゃなくなった時はうれしかったです。
こうした経験を活かしながら、災害が起きた時には被災地のリーダーとして、関わっていきたいと思っています。

そうした自分の体験からも、D-PRO135°の活動はずっと続いてほしい。災害の記憶はどんどん薄れていくものです。この活動を途絶えさせないことが、防災意識を薄れさせないことに通じると思うので、一番大事にしたいことです。

だからこそ、活動のフィールドを広げていくより、関わった一つの町には最後までD-PRO135°が責任を持ってまちづくりに取り組み続けたい。防災ゲーム「RESQ」も、「使わせてほしい」と依頼いただいた他の自治体や企業などには、それぞれに応じた内容が盛り込まれた完成形まで、一緒に仕上げたいんです。そんな思いから、今まで5年生は「RESQ」、4年生は東二見のまちづくり……というように、学年単位で分かれていた活動内容を、どの学年もすべての活動に携われるよう、後輩たちに引き継いでいける仕組みづくりの工夫を始めました。後輩たちには気負わず自由にのびのびと、責任と楽しみのメリハリをつけながら活動してほしいです。

そのためにも、今取り組んでいることが一番大事なんだという意識を持つこと。今、この時できることに精一杯取り組んでいきたいと思っています。

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