兵庫子ども支援団体

兵庫県加東市
兵庫子ども支援団体

それは、高3生たちの挑戦から始まった

2013年11月、明石北高校3年生だった当時、同級生2名と一緒に設立。理事として今も共に活動を続けている。左/横山和可さん(兵庫教育大学3回生)、中/上堀内武尉さん(大阪大学3回生)、右/多田実乘さん(兵庫教育大学3回生)

受験シーズンにもかかわらず「ええんちゃう♪」と集まった同級生たちは10名。スタートは「オレンジリボン運動(児童虐待防止活動)」と「小児がん・難病支援」の啓発活動だった。

小児がん・難病支援の啓発活動では、募金活動を実施。「がんのこどもを守る会」への寄付にあてられた。

「私たちのミッションは『子どもが笑って過ごせる地域づくり』。安心して過ごせる居場所を、子どもたちのために作ってゆきたい」

いろいろな思いを持って集まってきているボランティアたち。一本化するのは難しくても、柱とする思いの共有はミーティングではかり続けている。ぶれそうになったら、自らに問いかける。「子どものためになるのは、どっちだ!?」

はじまりは、オレンジリボン!

「自分たち自身が虐待を身近で見ないし、事例もない。明石市の数字を見て、初めて『多い』と思ったから」。全国の数値を示したチラシではなく、地元・明石の虐待数を見せたほうが身近に感じてもらえると、街頭での配布活動に使うチラシは手作りで。

児童虐待防止のためにできることは、チラシ配布だけじゃないはず。みんなにオレンジリボンに興味をもってもらうには? オレンジリボンを身につけてもらうには? 自分たちに何ができるのか…模索する日々は続く。

募金活動だけでなく、自分たちの得意分野を活かすには? 歌や音楽が得意なメンバーと「合唱」を活かした活動は? ウィッグ(かつら)を届けられないか? 交流の機会や知識をもっと増やしたい!

「明石の人は、みんなやさしい」という多田さん。みんな立ち止まって、チラシを受取ってくれる。小児がんの現状をもっと伝えたい。チラシづくりにも心をこめて。

大学生になると活動も本格化。神戸市のNPOの協力を得て、2014年夏には中学生を対象に、ひとり親家庭の子どもたちへ初めての学習支援を体験。日頃、大人に素直になれない子どもたちが、「週1回の学習支援に行くたび、自分たちを待っていてくれたのが、うれしかった」

子どもたちが安心できる、居場所をめざして

2015年より主催事業として、明石市で貧困世帯・ひとり親世帯の子どもたちへ学習支援を開始。1~2名からスタートしたチューター(教師役)も、現在では1回の支援活動に10人前後が参加(明石市)。2016年6月からは加東市でも活動を開始している。

日々の宿題から受験勉強まで、学習支援は幅広い。経済的理由から必要としている家庭も多い中、「少しずつ学習習慣が身についている」と、感謝されることも少なくない。

ある日、プリントを捨てて帰る子どもに気づいた。「家に持って帰っても、お母さんは見てくれへんし、捨てられる」。 ここは、学校が嫌な子どもたち、家にお母さんがいない子どもたちに必要な場所。他人に自分を認めてもらうことの大切さを、実感できる場所。

2015年度の利用者は、のべ200人以上にのぼった。学校が嫌いでも、勉強が苦手でも、学習支援教室には「楽しいから行きたい」という子どもたちがいる。嫌々取組んでいたプリントで、小テストを満点取れたとうれしそうに話す子どもの姿は「やっていてよかったと思う瞬間です」。

見つけたい情報を少しでも早く、正確に手にしてほしい。そんな思いで運営する「子ども支援情報サイト」。活動内容と支援の輪を、少しでも広げるために挑戦を続ける「クラウドファンディング」。インターネットをフルに活用しながらの活動だ。

もっと、子どもたちに関わりたい!

2016年2月、兵庫教育大学で開催されたボランティア交流会に参加し、「兵庫子ども支援団体」としての活動内容を発表。参加していた大人たちの反応も上々だった。

「もっといろんなボランティア団体と、横のつながりを持ちたい」と話す多田さん。例えば、食育。「こども食堂って、お腹を満たす場ではないと思うんです。箸の持ち方、食べながら話をすることの楽しさ、食事をつくる体験など、食育の場としての要素を活かす活動もしてゆきたい」

2017年3月には、一泊二日の自然体験活動を予定。子ども同士のコミュニケーション力を育むべく、自分たちの行動計画を自分たちの手で立て、様々な体験をしようというもの。「学校ではできないことをやっていきたい」

大学3回生が中心の団体として、考えるのは後継者。「活動を継続したい。運営に興味のある人なら、学生にも加わって手伝って欲しい。今年は社会人の方にも、サポートとして加わってもらいました。大人の方の力を借りながら、続けてゆきたいと思っています」

「まだまだ私たちは、失敗できる年齢。もっといろんなことに取り組んでゆきたい。自分たちにできたのだから、他の人にもきっとできる。そうして一人でも多く、興味を持って行動ができれば、社会はもっと良くなるはず」

グループ紹介

兵庫子ども支援団体

2013年9月。高校3年生だった多田実乘さんは、模擬試験を翌日に控えたある週末、「いじめや虐待で悩む子どもたちのために、ボランティア団体を立ち上げよう。」と思い立つ。翌、模擬試験当日の朝、声をかけた友達から返ってきたのは「ええんちゃう♪」
「受験を控えた今じゃなくてもいいのでは?」という先生たちからも、「受験に支障のない範囲でなら」とOKを取付け、11月「兵庫子ども支援団体」を同級生3名で設立。「おもしろそう! できることがあれば手伝うよ!」といってくれた10名の仲間とともに、「子どもが笑って過ごせる地域をつくる」ことを目標に活動をスタートさせた。
およそ80名のボランティアメンバーとともに取組むのは、明石市を中心とした児童虐待防止活動、小児がん・難病支援、そして貧困世帯・ひとり親世帯の子どもたちへの学習支援。2016年6月からは、学習支援の場を加東市にも拡大し、子どもたちのサポートを続けている。
今年10月には、民間の子育て支援活動を顕彰する「よみうり子育て応援大賞 奨励賞」を受賞。「子どものために自分たちができること」を探しながら、子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりに取組んでいる。

「思ったらやる!」  代表理事 多田実乘(ただみのり)さん

「思ったらやる!」  代表理事 多田実乘(ただみのり)さん

兵庫教育大学 初等教育教員養成課程の3回生。卒業後は、教員をめざす21才。
高校1年生の頃から、街頭でのチラシ配布活動などに携わり、みんなで集まってひとつの目標を目指す楽しさを実感。3年生になり「もっと大きくしていこう。」と思った時、頭に浮かんだのが学校でもらったオレンジリボン。活動のスタートを、オレンジリボン運動(児童虐待防止活動)の啓発活動に決めた。

 「誰かのためになら、何をしてもいいかな?って思う。自分の思いに、素直に従っているだけです。」
自分たちの活動は、子どもたちの何になっているんだろう? 自分たちに何ができるんだろう? 自問自答の日々の中、「いつまでも、答えは見つからない気がします。時代に応じたことを、ベストではなくベターなことを、繰り返していきたい。」という多田さん。
「行動するって大切です。自分に何ができるかわからないとみんな言うけど、恐れずに頑張って欲しい。」

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