場づくりから始めるな!~まちづくり交流会レポートPart.2 「わたしのまちで“好き”を育てる」クロストーク

私たち、まちで“好き”を育ててます!

わかりにくいことを、わかりにくいままやっていくのを許してほしい。

僕のことを「淡路のことを頑張ってる人や」って紹介されて……うれしかった。

「自分たちの好きなことを、自分たちでやるんだからいいでしょ」ってゆるり家をやってきた。

自分の好きなことは、言わんとあかん。

面白がれば、まちはつくれる。

集まるな。相談するな。計画するな。何が生まれるかわからない正解の無さこそが、実はまちづくりの「正解」かもしれない――。「やらなければならないからやる」のではなく、「やりたいからやる」。そんな地域活動を目指し、2024年2月9日(金)、加古川市「かわのまちリビング」で、4人の“すごいすと”によるトークセッションならびに、30人を超える参加者とのまちづくり交流会が開かれました。

【ファシリテーター兼登壇者】
佐伯亮太(さえきりょうた)さん/(同)Roof 共同代表、播磨町まちづくりアドバイザー、佐用町縮充戦略アドバイザー
15歳で学び始めた建築から都市計画、地縁組織への関わりや市民活動まで、幅広い経験を活かしながら、兵庫県内各地のまちづくりに関わっている。

【登壇者(50音順)】
富田祐介(とみたゆうすけ)さん/ (株)シマトワークス 代表取締役
2012年、淡路島へ移住。イベント企画からインバウンド観光、発信サポート、企業支援まで、企画力を発揮しながら、淡路島の内と外を人とアイデアの力でつないでいる。

濱田理恵(はまだりえ)さん/みんなのお茶の間 ゆるり家 代表
子育てサークル仲間と共に、2009年、地域の大人や子どもがゆるやかに集う場を加古郡稲美町で立ち上げ。児童館のような駄菓子屋や、中高生のための自習室が人気。

若狭健作(わかさけんさく)さん/(株)地域環境計画研究所 代表取締役
地域のブランディングや情報発信などを通して、住民と行政の橋渡しをする地域プランナー。尼崎にさまざまな楽しい仕掛けをする、まちのお兄さん的存在。

「みんな何をしているのか、わからない人だった⁉

まちづくりの現場で活躍する、4人の“すごいすと”たちの自己紹介から始まったトークセッション。活動をするうえで、一般的には「大切だ」と思われている“肩書”へ話が広がりました。

「みんな何をしているのか、わからない人ですよね。」と笑う佐伯さん。名前を付けることによって、こぼれ落ちるものがたくさんあると言います。肩書が示す属性に引きずられ、それ以上に面白いことが起こるイメージが湧き上がってこないからです。

例えば、濱田さんのゆるり家では、「勉強ができる場所」を「放課後居場所カフェ」と名前を変えたら、「行かせたい」という保護者の声がぱったり途絶えたと言います。

一方、若狭さんは、現在、尼崎で古本屋を運営中。店番メンバーたちの名付けがユニークです。その名も「ロッキン・チェアーズ」!

名前の付け方や呼び方も含め、「遊び」にして面白がる。実はまちづくりにとって、とても重要なことでした。

仕事にしようとして、始めちゃいけない

「めっちゃ“しょうもない”ことを、ずっとやっていたら、いつの間にか仕事になっていたことが結構ある。」すごいすとたちの、共通体験です。

相槌を打つ若狭さんは、「自分の好きなことは、言わんとあかん!」と言います。

人を集めて場をつくるのではなく、まず、「自分がやりたいことを始めてみよう」と勧める“すごいすと”たち。佐伯さんは「何かを始める時、みんなでやろうとするとうまくいかないから。」と言います。
ということで、すごいすとたちが「今気になっていること」「やってみたいこと」を語りました。

「やったらいいやん、やめてもいいやん」

何かを始めようとする時、「こうしなければ」「こうでなくては」と、対象や目的、コンテンツや意味から考えようとしがちです。しかし、「ゆとりや遊び、余白を持ちながらやったほうがいい」と話す佐伯さん。今、気になっているのは、播磨町に張り巡らされている水路だそう。

そんな佐伯さんは、面白そうだと思うことなら「やったらいいやん」と勧めます。

一方、濱田さんは「やめたこと」で「始まったこと」が……。

会場が笑いに包まれる中、質疑応答へ。二人の参加者が、“すごいすと”たちにアドバイスを求めました。

「地域を巻き込む」「好きを貫く」 “すごいすと”たちは、どうしてる?

【質問①】
もうすぐ小学校が廃校になります。地域を巻き込んで、活用方法を話せる場を開きたいのですが、皆さんならどういうイメージが湧きますか?

【質問②】
行政関係者です。テーマの「好き」を“貫く”ための自分軸やキーワードがあるなら、教えてほしいです。

話が尽きない中、トークセッションは登壇者を囲んでの「出会いつながる!交流タイム」へ場を移しました。

やりたい人が、やりたいことを始めよう

4人の登壇者それぞれの元へ参加者が集まり、4つの話の輪ができた中、偶然にも共通の話題は「あるべき答えにどうアプローチするかではなく、予期せぬことが生まれる楽しさを味わう。」でした。
生み出すためのきっかけづくりや、移住者と地元住人との関係性をベースにした視点について、さらに、まちで繰り広げられる活動を行政がどう面白くできるのかという話まで、それぞれのテーブルで熱いトークが続きました。

参加者の一人で、質疑応答タイムに廃校後の小学校活用について質問した男性(30代)は、「話し合い、仲間を集めて物事を進める。そんな段取りを踏まなくてはいけないという、凝り固まった考えに縛られていました。やりたいことを始めてから地域で動ける人を探せばいいんだと、楽に考えられるようになりました。」と話してくれました。

一方、まちづくりに関わる人たちのサポート業務に就いているという行政関係者の女性(50代)は、「気負い過ぎていた」と言います。
「『しなくてはいけない』ことを形にする力が足りないのに、“支援”という言葉を使うことにおこがましさを感じていました。でも、『やりたい人が、やりたいと思っていることを手伝えばいい。』と気付けたことで、少し肩の力が抜けました。」とホッとした笑顔を見せました。

“すごいすと”とは、「日々友だちを集めながら、面白そうだと思うことをやっている人のことじゃないかな。」と言う佐伯さん。わたしのまちで“好き”を育てるまちづくり。「自分がやりたいことをやる」という、シンプルなアクションから始めてみませんか。

軽快なトークの中に、笑いと本音と明日から動き出したくなるワクワクが、たっぷり詰まったトークセッションの様子は、ぜひ動画で全編をご覧ください。