すごいすとたちが初めて集結〜これからの地域づくりのヒントを熱く語った2時間 交流会レポート

2025年2月15日、神戸・三宮に集まったのは、世代も活動分野も地域も異なる約30人のすごいすとたち。2013年にWebマガジン「すごいすと」がスタートして以来初めて、すごいすとの皆さんが一堂に会する交流会を開催しました。
対話のワークショップは、マイクを通した司会の声も遠のく白熱ぶり。
そこで見えてきた「これからの地域づくりのヒント」とは──?

「時代の変化を受け止める」「ひとの価値を高める」

地域づくりに正解はない。それでも、考えるための「キーワード」はあるはずーー。今回の交流会では、参加した「すごいすと」の皆さんたちが普段の活動で大切にしていることや課題を掘り下げ、語り合いました。

会の前半ではトークセッションゲストとして総務省地域力創造アドバイザーの堀口正裕さんが登壇し、話題を提供しました。

堀口正裕(ほりぐちまさひろ)さん

総務省地域力創造アドバイザー、国土交通省「地域づくり表彰」審査会委員、移住・二地域居住等促進専門委員等を務める他、地域活性事例に関する講演、テレビ・ラジオ出演多数、全国各自治体の移住施策に関わる。2012年6月「TURNS」を企画、創刊。「TURNSローカルカレッジ」や「TURNSビジネススクール」等、地域と都市をつなぐ各種企画を展開。

約30年前から地域の情報発信をつづけ、地域と関わりながら生きるさまざまなひとの紹介や地域と都会をつなぐ場づくりなどを手掛けてきた堀口さん。
近年広まった「転職なき移住」や、ローカルから世界へのマーケットづくり、新しい時代のあり方として注目される「民間行政」などについてお話しくださいました。

「『民間行政』とは、官民連携とは違います。これから人口が減り行政職員さんも減っていく中で、民間がテクノロジーなどを駆使してそのマイナス分をカバーしていかなきゃいけない。地域に根を張る民間の会社が、人材の育成に投資して力を発揮し、地域を盛り上げる。これが『民間行政』の考え方です」

堀口さん自身も、3年前に東北地方のある会社の経営者からこの言葉を教わったそう。各地で奮闘する、地元企業の事例も紹介されました。

堀口さんのお話もヒントに、参加したすごいすとから寄せられた「この先10年の地域づくりのキーワードは?」というトークテーマで、テーブルごとに議論。

「変化を受け止める」「ピンチはチャンス」2つのキーワードが飛び出したテーブル

「前の10年を思った時に、紙からデジタルへの流れがありました。次の10年もやってくる変化を受け止められるように、柔らかさを持って楽しく活動したいです。また、コロナ禍の時に一歩踏み出せたという実績があるので、ピンチをうまく利用しようと。この2つのキーワードが出ました」(NPO法人ゆるり家 田口結子さん)

「人」という文字を中心に、「教育」「歩」「発信」などのキーワードが出たテーブル

「僕は製造業で、元々1時間に100個作れるものを120個作れと言って価値を下げてしまう。何とか『人』の価値を上げたいと思ってつづけてきて、作っているバイクのパーツを、時間をかけて錫(すず)のコップにして1つ1万2000円ぐらいで売っています。この先10年、僕らの地域もどんどん人が減る中で、選ばれないといけない。人材不足って言っちゃダメなんですよね、多分めちゃくちゃ『人』っているんですよ。やはりキーワードは『人』かなというところでまとまりました」(株式会社藤原 藤原弘三さん)

すごいすとたちが気になる6つのテーマで白熱したワールドカフェ

会の後半は、すごいすとの皆さんから挙がった6つのテーマをもとにテーブルごとに対話する「ワールドカフェ」。
テーブルのメンバーを入れ替えて2周し、制限時間がきても話が尽きないほど各テーブルが盛り上がりを見せました。

「地域の多世代交流」がテーマのテーブル(東灘こどもカフェ 中村保佑さんがホスト)

「若者の“やりたい”を創る、育てる」
「“得意”をおしえる 地域が先生」
「地域資源の活用〜飛行場跡地で鬼ごっこ」
「若者×地域の人 道のりを示す」

「外国人住民との暮らし〜多文化共生」がテーマのテーブル(NPO法人小野市国際交流協会 河嶋栄里子さんがホスト)

「外国人に対する思いこみがある」
「外国人と地域の人とのつながりは減災につながる」
「『支援』しようと思うが、『学ぶこと』が多い」
「やさしい日本語で」

「活動の資金あつめ」がテーマのテーブル(NPO法人ゆるり家 田口結子さんがホスト)

「人を集めるにはそれなりの対価を払わないといけない」
「クラウドファンディング」
「ファンを作る 知ってもらう」
「ボランティア事業と分ける収益事業」

「日本の子どもの精神的幸福度を向上させるには?」がテーマのテーブル(一般社団法人さんぴぃす 河口紅さんがホスト)

「大人も子どもも自己肯定感の低さ」
「自分を知る大切さ」
「学校の中では“やっかい” でも違う視点で見ればすごくいいところがある」
「好きなことでメシを食う!」

「ふるさと納税」がテーマのテーブル(Do-it 阿部裕彦さんがホスト)

「活動資金のためのマネタイズ」
「市場の価値から離れるとユーザーは反応してくれない」
「地域―住民―つながりのある会社」
「どんな商品を作ろうか」

「人」がテーマのテーブル(株式会社藤原 藤原弘三さんがホスト)

「組織には『リーダー』が必要 『ボス』はダメ」
「高齢者を巻き込んでいく」
「達成感、やる気、モチベーション」
「ロボットがあっても、つくるのは『人』」

会の終了後、参加したすごいすとの方々からは、「つづけるという地味なことが大事と改めて気づいた」「悩みの解決方法はひとつじゃない、皆さんの意見が聞けて良かった」「いろんな視点の方と話せて自分の世界が広がった」といった感想が聞かれました。
また、「県としてこのような交流が広がり、地域の人も巻き込めばもっとおもしろくなる」「この交流の後さらに『かき混ぜる』のが大事」という今後に期待する声もありました。

すごいすとたちのパワーがみなぎった交流会の様子は、ポッドキャスト(音声配信)でお聴きください。

PODCAST聴く「すごいすと」

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