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子どもの遊び場を考える会 赤とんぼ

CO+COすごい
2024/01/22
たつの市
子どもの遊び場を考える会 赤とんぼ

AGAIN すごいすとふたたび

すごいすとは時を経て、ますます“すごいすと”になっていた!
進化した活動を、姿を、エネルギーを届けます。

子どもも大人も、遊んで育とう!

子どもも大人も、遊んで育とう!

自由な遊びを通して、子どもたちのチャレンジ精神を支援したいとスタートして18年。2022年からは、前任者からバトンを引き継いだボランティアメンバーたちが活動に取り組んでいる。子どもたちのために、保護者のために、そして自分たち自身のために、心を一つに前進を続ける想いを聴いた。

【子どもの遊び場を考える会 赤とんぼ】

2005年、子どもたちが自分の責任で自由に遊ぶ、「プレーパーク」を提供するボランティア団体として活動を開始。少子対策・子育て支援において優れた取組のあった団体等を表彰する「ひょうご子育て応援賞」を受賞するなど精力的な活動を続けていたが、2021年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け活動を休止。2022年4月、代表者をはじめ運営メンバーの世代交代と共に、活動を再開した。

「やめてしまうなんて、もったいない!」

芝生の広場に響く、子どもたちの元気な声。2022年4月16日、子どもの遊び場を考える会 赤とんぼ(以下、赤とんぼ)のプレーパークが、活動休止から約1年ぶりに帰ってきた。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、2021年3月に活動を休止。それを機に赤とんぼの運営は、創設者である前代表の森正枝さんから新代表の赤木友香さんと新メンバーに引き継がれることになった。

「やめる選択肢もあったんです。でも、前代表や前メンバーの方々がゼロから立ち上げられ、16年もの年月をかけて活動を地域に根付かせてくださいました。やめるのは、それらをすべて無に帰してしまうこと。ここまでつながってきたものを途切れさせてしまうのは、すごくもったいないと思いました。私に代表が務まるのかという戸惑いより、活動を無くしたくない気持ちの方が強かったんです。」と、2022年4月から新たに代表を務めている赤木さんが語る。

継承した新メンバーたち全員が、「無くしてしまうのは、もったいない」と感じた赤とんぼのプレーパークとは、どんな活動なのだろう。

2021年3月、活動休止前の最後のプレーパーク
プレーパークへの感謝と再開への願いを込めて一斉に風船が放たれた

自由に遊べる空間ほど、楽しいものはない

赤とんぼのプレーパークとは、子どもたちがやりたいことを見つけてチャレンジする、自然の中の遊び場。大人が考えたプログラムではなく、子どもたちが「自分の責任で、自由に遊ぶ」ことが基本だ。雑木林での鬼ごっこや木登り、金づちによる工作や、段ボールを使った坂滑りなど、ちょっとスリルを感じる遊びも楽しめる。

「今の子どもたちは、外で遊ぶ機会があまりありません。屋内で遊びを提供され、大人の目に守られながら育っているケースが多いように感じます。私が幼かった頃は、ちょっとしたケガもしたけれど、思い切り自由に遊べる楽しさがありました。プレーパークにやって来る子どもたちも、みんなすごくいい顔をして帰っていきます。」と赤木さんが話す。

時には、それぞれの小学校へ入学した子どもたちが、同窓会のようにプレーパークへ集まってきたり、里帰りをきっかけに参加した母親が「たつの市って、いいところだったんだ」と、地元の良さを再認識することも。最近は、SNSを通じて知った市外や県外の人たちが訪れる機会も増え、参加者が100人近く集まる活動日もある。

「休止が決まった時、『寂しい』『また来たい』って、子どもたちがたくさんのメッセージをくれました。その想いに応えたかったんです。」と話すのは、社会人リーダーの一人、船引春菜さん。

こうしてメンバーたち自身もプレーパークの必要性を感じるのは、子どもたちの変化を目の当たりにしてきたからだ。

仲良し同士で一緒に入って遊べる頑丈なハンモック
坂に敷かれた段ボールの上を何度も滑る子どもたち

子どもたちの心も育つ、プレーパーク

「今日ははるちゃんいる? はるちゃんに会いに来たよ。」

今も船引さんの思い出に残る少女がいる。自分の気持ちをあまり口にしなかった彼女が、船引さんとの時間が増えるにつれ、学校での様子や悩みを話すようになり、活動中に作った工作をプレゼントしてくれるまで、心を開いてくれた。

「今は、異年齢の人と関わったり、年上の友だちをつくったりする機会が少ない。プレーパークのように、年齢に関係なく遊べる関わりや、誰かのために何かをしたいと思う気持ちを持つことって、すごく大事だと思っています。」

一方、赤木さんも子どもの変化を感じていた。

「行動にちょっと落ち着きがない、乱暴なところがあるなど、一見、問題行動と思われることでも、その背景には理由があります。心の動きに目を向けて行動の理由を受け止め、寄り添い続けることが大切。『自分を受け止めてもらえる場所』だと子どもたちが気づけば、行動が落ち着き始め、表情も変わっていきます。例えば、自分中心にしかふるまえなかった子どもが年下の友達に優しくなったり、保護者が我が子の変化に安堵したりする様子を目にすることが、すごくうれしいんです。」

そんなプレーパークは、参加する親子だけでなく、受け入れる側のメンバーたちにとっても、必要な場所になっている。

木の実や落ち葉を使って思い思いの作品を作る
木の枝と枯れ葉で自分たちだけの基地が完成

そこは、大人にとっても「居場所」だった

プレーパークは、家や職場で過ごす自分とは、違う自分でいられる新しいコミュニティ。「自分はこんなことができるんだ」「こんな対応もできるんだ」と、新しい自分を見つけられる場所だと話す赤木さん。

スタッフの一人、田中友貴さんも「学校や職場、家庭という枠を超えた場所です。楽しい、面白いという理由だけで、モチベーションを保って活動ができます。」と共感する。

一方、中森柊一さんは「自分の居場所」だと言う。1年前、大学を辞め地元に戻ってきたが、体調を崩し笑顔も少なくなっていた時期があった。そんな時、「プレーパークへ手伝いに来てくれる?」と声をかけられた。

「子どもたちの相手になることは、そんなに得意じゃなかったんですが、準備を手伝うくらいならできるかなと……。でも、メンバーたちと仲良くなるにつれ、子どもたちとも遊べるようになっていきました。」

今では笑顔も取り戻し、子どもたちから「しゅーちゃんがいるから遊びに来た」と慕われる存在になっている。

そんな中森さんの話を受け、「ここは子どもたちだけでなく、我々メンバーも受け入れてもらえる場所だから。」と話すのは中森泉さん。前代表からかけられた「ありのままの、あなたでいいのよ」という言葉に救われ、プレーパークが第二の故郷のような場所になったと言う。

「世間では『受け入れ合おう』『認め合おう』と言われますが、その一方で常に評価され、誰かと比べられ、反省点を指摘されて、今のあなたのままではダメだと言われながら生きている気がします。ありのままの自分を受け入れてもらえる場所は、大人にこそ必要なのかなと感じます。」

引き継ぐことの難しさを感じることもある。それでも、活動の休止を経験したからこそ、一人ひとりが活動を守り続けたい想いを新たにしている。

子どもたちが安全に遊べるように確かめながら作業している
おとなも子どもも夢中になる大きなしゃぼん玉づくり

「ありのままのあなたでいい」を引き継いで

「つい、継承前の活動と比べ、足りていない部分を感じてしまう。目指したいけれど追いつけない。焦りを感じてしまうこともあります。」

赤木さんは、継承への戸惑いを口にする一方、「『自分が自分のままでいていいんだ』と思ってもらえる場所をつくり続けたい。」と、目指す方向もはっきりと見据えている。

「子どもたちは自由に遊びたいし、自由に成長したいんです。でも、おとなに気を使っていたり、『こうしなくちゃいけない』という枠の中で生きていたりします。自由に過ごし方を選べ、心ゆくまで自分のペースで遊ぶことができる時間と場所を提供することが、プレーパークの役割だと思っています。」

一方、保護者にとっては、至近距離で向き合ってきた我が子を、一歩下がった場所から少し広がった視野で見守ることで、「あんな風に笑うんだ」「初対面の人とあんな風に関わっていくんだ」と、我が子の成長ぶりに気づくことができるという。

「それが、子育て中の心のゆとりにもつながります。保護者が100人いれば、100通り以上の子育てがあるはず。『それでいい』と受け入れ、子どもも保護者も『ここなら大丈夫』と安心できる居心地のいい場所でありたい。」と話す赤木さん。

「ありのままのあなたでいい。」

伝え続けた前代表の想いは今、「赤とんぼ」の想いになっている。

活動休止中、コロナ禍にある子どもたちのためにボランティアを集めて開催された

(取材日 令和5年8月20日)

3つの活動ポイント

  1. 高校生から行政職員、一般企業勤務の社会人まで、年齢も業種も様々なメンバーで構成している。
  2. SNSの発信と季刊チラシの発行を通じて、市外など遠方からの参加にもつなげている。
  3. 赤とんぼが目指す活動の目標や方向を、メンバー全員で共有している。

子どもの遊び場を考える会 赤とんぼの
ここが好き・いいところ

代表

赤木 友香さん

「赤とんぼを続けよう!」という想いを、全員が活動の目標に掲げてくれていることに感謝しています。リーダーたち、スタッフたちがいるから、今の赤とんぼがあります。みんなへの感謝の気持ちを忘れずに、前代表から引き継いだものを次の世代へつないでいきたい。活動の規模や頻度にこだわるより、まずはこの場所があり続けることを大切にしたいと思っています。

社会人リーダー

上田 詩恩さん

高校生の頃から、少しだけ運営に携わらせていただいています。社会人のボランティアメンバーが、こんなに大勢で熱心に参加している団体は少ないのではないかと思っています。活動を継承し、これまでの運営メンバーの方々が、どれだけ頑張ってくださっていたかわかりました。代表の赤木さんを支えていきたいです。

社会人リーダー

船引 春菜さん

この「場所」を好きになってくれる人を増やすために、まずは私たち「メンバー」を好きになってもらいたいと思っています。人のファンになると、その場所へ行きたくなりますよね。子どもたちにも保護者の方にも、「あのメンバーさんに会いたい」という気持ちになってもらえるよう、これからも関わっていきます。

社会人リーダー

中森 泉さん

これまでは「シャボン玉液がなくなった」と言うだけで、新しい液が用意されていました。でも活動を引き継いで初めて、誰が、どうやって支払っていたのかさえ知らなかったことに気づき、組織の運営は想像以上に大変だと気づきました。自分が母親になった時、我が子もここで活動して欲しいから、この場所を守り続けたいと思っています。

社会人リーダー

末道 桐吾さん

大学の授業の単位を取るために参加し始めたのですが、気がつけば、単位の修得後も通っていました。子どもたちと遊ぶのは楽しいですし、参加していることで話題も広がり、赤とんぼが自分の中で大きな存在になっています。団体として活動を継続できるよう、若いリーダーの育成にも力を入れなくてはと感じています。

社会人リーダー

川戸 将稔さん

広報として、活動中の写真撮影を担っています。子どもの様子を見守ったり、一緒に遊んだりすることに加え、自分の趣味や特技を活かしやすい環境であることも、赤とんぼの良さです。今後は、新たに参加したい人たちに活動の楽しさを伝え、赤とんぼを引っ張っていける存在になりたいと思っています。

社会人リーダー

中森 柊一さん

私自身は活動に対して、決して大きな志があるわけではありません。夢や目標をしっかり描けているわけでもありませんし、積極的に運営に取り組んでいるとも言えません。でも、参加することが楽しくて、誰かの役に立てている喜びを感じます。この「居場所」を守り続けていくことが、今一番の希望です。

スタッフ

田中 友貴さん

赤とんぼのようなボランティア団体は、業種も年齢も異なる人たちが協力し合い、自分にできることから取り組むことが大切です。義務感に縛られず、気軽な気持ちで始めることが、長く続くコツだと思います。活動に取り組む想いや目標を全員で共有できれば、志を引き継ぐことができ、世代交代をしても良い循環が生まれるはずです。

高校生リーダー

玉田 楓さん

子どもたちと創作遊びをするのが好きです。たくさん会話をしなくても、工作の時間を共有するだけで、子どもたちと仲良くなれます。目標は、段ボールをはじめいろいろな材料を使って、新しい遊びを考えること。プレーパークの皆勤賞も目指しています。

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この記事を書いた⼈
内橋麻衣子